アニメで『Fate』を知った人は、できれば桜ルートを先にプレイしてほしいですね(今はPS VitaのBest版も発売されていますし!)。そしてライダーファンになってください(笑)。削除部分を補って余りある追加要素があるので、個人的には、PS Vita版をおすすめしたいです。本編だけで30時間は楽しめますし、“カプセルさーばんと”もかなり遊べるゲームに仕上がっていますから。ボリュームがある作品なので、寝ながらプレイできるPS Vitaとの相性もいいです。今から9年前の2005年10月に発売されたPC版『Fate/hollow ataraxia』。舞台となるのは、前作『Fate/stay night』の半年後の冬木市です。『Fate/hollow ataraxia』は、主に2つの視点でストーリーが進行していきます。1つは、衛宮士郎を主人公に、コミカルで違和感を覚えるほど平和な日常を描いた“昼”の時間。もう1つは、初登場のマスター“バゼット”を主人公兼ヒロインとした“夜”の時間です。話を本編に戻して、士郎が4日間を繰り返して一定のフラグを立てると、“夜の聖杯戦争編”に切り替わります。このような形で、昼と夜、2人の主人公のエピソードを読みながら、平和な世界と再開された聖杯戦争の謎を紐解いていくことがゲームの目的です。あと、『Fate/stay night』の3ルートはものすごくよくまとまっていて、物語としてキレイに終わっています。なので続編をプレイして、蛇足と感じる人も中にはいるかもしれません。余談はさておき、ボイスのおかげで、バゼットの強さと弱さが同居しているかわいらしさだったり、ランサーの兄貴っぷりだったりに拍車がかかっていますので、クリア済みの人でも楽しめるはずです。何度見ても、セイバーとアーチャーのブリッジでの死闘とラストの戦闘は素晴らしいですしね!気付けば夢中でプレイし続け、エンディングまで見て、さらに“カプセルさーばんと”も3時間ほど遊んでしまいました。1本の記事に20時間以上もかけてしまったのが、発売日になっても掲載できなかった理由だったりします。ここで変更点の1つである“カプセルさーばんと”について触れたいと思います。まず最初に言っておきたいのは、“カプセルさーばんと”を遊ぶためには、本編を後半まで進めて、とあるフラグを立てる必要があるということ。最初からプレイできるわけではないのであしからず。一部、18歳的なアレの関係で削除されているイベントもありますが、おおむね追加要素ばかりという印象です。ライダーファンとしては少し残念でしたけどね……(笑)。登場キャラは、プレイ時間3時間(進行度としてはシロウルートの半分ほど)で確認できただけでも『stay night』『hollow ataraxia』『Zero』『extra』『Prototype』『Apocrypha』のサーヴァントが登場することがわかりました。バゼットは最弱のサーヴァント“アヴェンジャー(存在しないはずの8番目のクラス)”とともに、時には見たことがないマスターと戦って殺されたり、時には初出のサーヴァントと戦って殺されたり……基本的には負けてばっかりなのですが(笑)、このペアの特殊能力である“死んでも1日目に戻る”現象を利用して、少しずつ夜の聖杯戦争を勝ち抜こうとしていきます。勝ち抜いた先に待っているものが何かも知らずに……。それでは、さっそく基礎知識の解説に入ります。「行きますよ新規マスターたち! 知識を貯蔵する準備は十分かっ! !」。もちろん、セイバーや凛、桜たちとデートに出かけたり、プールで水着姿を披露してくれたり、お風呂でライダーと遭遇して●●で××な展開になったりと、男性マスター諸君が望むアヴァロンのような展開もたくさんありますので、続編として非常に優秀です。また、サラリと“第五次聖杯戦争”を経験しての発言やマスターへの気持ちをサーヴァントから聞かされ、「セイバーたちとまた出会えてよかった……」と涙腺をやられることも。アニメでもゲームでもいいので、『stay night』という物語を体験してキャラクターを気に入った人なら、この補完部分だけを見てもマストバイな一作と言えるでしょう。ちなみに変更点の下から2つ目ですが、PS Vitaの16:9の画面にあわせて4:3の画像の上下が隠れていることですね。切り落としているわけではないので、アナログスティックで画面をスクロールして全体像を見ることもできます。もちろん、コンフィグで4:3表示にすることも可能です。前作から半年後の世界なので、当然、聖杯戦争は終了しています。退場してしまった魔術師やサーヴァントは存在していないはずなのですが……なぜか、ごく一部のキャラをのぞいて、冬木の地で日常を謳歌している不可思議な状況が描かれます。ランサーが釣り人になっていたり、キャスターが新妻になっていたり、金色の人が少年になっていたりetc……。そんな平和で、まるで夢のような日常から一転、見たこともない1組のマスター&サーヴァントが“終わったはずの聖杯戦争を続けよう”と立ち上がります。この作品は、もっともっと『Fate』の物語を読んでみたい人、各キャラクターが大好きな人、サーヴァントのバックボーンや前作で見られなかった姿を見たい人、衛宮士郎以外が主人公として扱われても許容できる人などにおすすめしたいです。買い……と言いたいところですが、断言はしかねます。というのも、本作はどのルートの続きかは明言されていませんが、『stay night』の3ルートすべてを内包したような世界観になっています。そんな笑えるエピソードの中にチラリと挿入されるサーヴァントたちのシリアスな過去が、いいスパイスになっています。まだまだTVアニメが放送中なので詳しい内容は言えませんが、ランサー、ライダー、キャスター自身の口から語られる英霊たちの過去は壮絶で、なおかつ感情移入もでき、「だから『Fate/stay night』でああいう行動をとったのか!」と彼らの行動原理や人間性を深く理解できます。それぞれモーションと性能が全然違いますし、何より召喚すればするほど経験値がもらえる成長要素のおかげで、RPGのような楽しさがあります。また、後半は相手のデッキに合わせてデッキを編集しないと勝ちづらくなるという、意外と奥が深い作品にも仕上がっていました。内容はというと、画面両端に拠点を構える自分と相手がリアルタイムに何体ものサーヴァントを召喚していき、先に相手の拠点を破壊したほうが勝ち、というディフェンスゲームです。過去のエクストラゲーム同様、シナリオははちゃめちゃ(ほめ言葉)。とんでも時空の中で物語が進んでいきます。士郎とバゼットに与えられたのは、ともに“4日間”。昼編では、“午前・午後・夜”の各時間で冬木の各地にいる登場キャラクターを追いかけながら(マップ上のデフォルメキャラを選択)、前作で描かれなかったショートエピソードを読みつつ、フラグを立てていきます。そして、“4日目の夜”が終わる、または『Fate』おなじみのデッドエンドを見ることで、1日目の朝に戻ります。『月姫』を知っている人なら、『歌月十夜』を思い出すでしょうね。ちなみに、各サーヴァントの真名がフルオープンなので、ネタバレには注意してください。最大の魅力は、やはり9年越しのフルボイス化! 声があるのとないのとでは、各エピソード、シチュエーションから得られる感覚が全然違います。正直、9年前に何度かプレイしていたので、この記事のためにプレイする際は「もう1回やるの面倒だなぁ」なんて失礼なことを考えていました。でも、PS Vitaを立ち上げて例の実写&怪談話を読み進めていくうちに、「『ホロウ』って、こんなゲームだっけ?」とかなり新鮮な気持ちになれたんです。言峰綺礼の拠点がマーボーだったり、『extra』の主人公が一切しゃべらなかったり、ケイネス先生が戦闘中に「まだ自害しなくていい」と叫んだり、いろいろと小ネタが仕込まれている点も高評価できます。いろいろと言いましたけど、物語としては間違いなくおもしろい(特にhollowシナリオ)ですし、“カプセルさーばんと”も楽しめますよ!なぜ、退場したはずの人間たちが再登場するのか? なぜ、終わったはずの聖杯戦争を“続ける”のか? そして、突如現れたマスター&サーヴァントは何者なのか? 大きく分けて、この3点を軸に物語は進んでいくのです。原作とPS Vita版のどちらを買えばいいかわからない、原作は持っているけど、コンシューマ版も買うべきなのか判断がつかない、なんて人もいることでしょう。そんな人のために、簡単に原作との違いをまとめたいと思います。昼編の魅力は、ほぼすべてのキャラが登場して描かれる平和で笑える日常と、サーヴァントの掘り下げ。前作のシリアスな雰囲気とは打って変わって、ギャグ空間よろしく全体の半分ほどがコメディなので、読んでいてニヤニヤが止まりません。私の特に好きなエピソードを一部紹介すると、青い人と赤い人と金色の人が釣り勝負に興じたり、桜の“ふくしゅうノート”を見てしまった士郎とワカメ……もとい間桐慎二が大変な目にあったり、遠坂凛が魔法少女になってしまったり、アホ毛が抜けてセイバーが暗黒面に落ちてしまったり。こんな記事でワカメをワカメと呼んでも許されるほどにはギャグ空間になっています(笑)。
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