ホーム ピグ アメブロ. M. Coetzee)は、南アフリカ出身でイギリスにも住み、オーストラリアに移住したノーベル文学賞作家です。インドからカナダへ向かう船が沈没し、かろうじて助かったインドの少年パイがトラなどの動物たちと生き残るために漂流する物語。子ども向けのサバイバル小説にも見えますが、実は深さがある本です。また、ユーモアが随所で炸裂しているのも、ラシュディ作品の魅力です。しかし、マジックリアリズム(魔術的リアリズム)とも評されるラシュディの小説の文章は、流れるようにぐいぐいと読ませる文体が特徴です。英文を全て理解できなくても、言葉の豊かな渦の中に体ごと巻き込まれていくような読み心地がクセになります。エマ・ドナヒュー(Emma Donoghue)は、アイルランド生まれでカナダ在住の作家です。『Room(部屋)』は2015年に映画化(邦題『ルーム』)されました。ぜひ翻訳してみたいと思いましたが、もちろん、程なくして日本語版が刊行されました(笑)。あの英語の文体がどういう日本語になっているのか、一度読んでみたいと思っています。2013年にアン・リー監督が映画化(邦題『ライフ・オブ・パイ』)した冒険小説。ヤン・マーテル(Yann Martel)はカナダの作家です。「クローン人間」をまるで現実に生きている存在かのように表現していて、フィクションというものの威力を感じます。感傷的な場面も、わざとそう書いているのかとも思えますし、多様な解釈が可能な小説かもしれません。現在の情景から過去の回想へ飛び、平穏そうなイギリスの寄宿学校のような場所での思い出が語られますが、不穏な要素が散りばめられていて、学校の実態が少しずつ明かされていきます。▼サルマン・ラシュディの読みやすい子ども向けおすすめ小説はこちら↓デビュー作は短編集で、『Lowland(低地)』は3作目の長編小説です。故郷のインドで弟が射殺されたという知らせを受けたアメリカ留学中の兄が帰国し、失意の両親と弟の身重の妻と向き合います。その後、舞台はアメリカに移り、すれ違う思いが描かれていきます。こんな設定の小説をこんなに高い完成度で書くなんて、クッツェーはやはりすごいと再認識した作品でした。同作家の代表作の一つ、『Midnight's Children(真夜中の子供たち)』は、確か学生のときにポストコロニアリズムの文学の授業で課題として読みました。インドのイギリスによる植民地化と独立がテーマになっています。サルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)はインド出身のイギリスの作家で、「サー(Sir、ナイト)」の称号を与えられています。ブッカー賞(The Booker Prize)は、1969年に創設されたイギリスの文学賞で、長編小説に授与されます。ジュンパ・ラヒリ(Jhumpa Lahiri)はインド系アメリカ作家で、第1言語の英語で作品を発表してきましたが、最近はイタリアに住み、大人になってから習得したイタリア語でエッセイや小説を書いたりしています。「お探しのページは見つかりません。」は、英語でなんて言うか知っていますか?読みやすくて一気に読めますが、ブッカー賞を受賞したのも納得のフィクション。ぜひお試しを。アラヴィンド・アディガ(Aravind Adiga)はインド出身、アメリカとイギリスの大学で学んだ作家でジャーナリストです。スパークは1918年に生まれ、2006年に亡くなっていますが、インターネットやヴァーチャルの世界が現実を侵食し、何が「ファクト」で何が「フェイク」なのかが分からなくなりがちな現代に、ますます読みたい作家です。カズオ・イシグロ(Kazuo Ishiguro)は、「サー(Sir、ナイト)」の称号を与えられている日系イギリス作家で、2017年にノーベル文学賞を受賞しています。日本でもおなじみですね。自伝的小説とされていますが、自己を戯画化したような、徹底した「外からの目」による語りには、驚嘆を通り越して寒気すらします。しかし、ユーモアも感じられるのがまた偉大なところです。英文は簡潔で、研ぎ澄まされています。人種、立場、年齢、言語といった側面で生じる疎外感、優越感と劣等感などを浮かび上がらせる作家です。ヒリヒリと痛くて、読んでいてつらく感じる場面もあるのですが、それでも妙に客観性を保っているところが稀有(けう)で、好きです。作品はどれも、理路整然と感じられる簡潔な文体から、「え?え?」と焦ってしまうようなことが平然と立ち上がってきて、どこまでが現実でどこからがフィクションなのかが分からなくなっていきます。あくまでも理知的な文章でありながら、ちょっとゾッとする狂気が静かに迫ってくるところに引き付けられます。この小説からは、インド社会の問題やそれと関わる世界の問題が見えてきます。そして、その問題は形が変わっていたとしても現在も続いているのでしょう。2010年にイギリスでキャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ主演により映画化、日本でも2014年に蜷川幸雄演出、多部未華子主演で舞台化、2016年には綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみ主演でテレビドラマ化されています。ノーベル文学賞が「作家」に与えられるのに対し、ブッカー賞は芥川賞や直木賞と同じように「作品」に与えられます。そのため、同一作家の異なる作品が受賞する場合もあり、これまでにJ・M・クッツェー、ヒラリー・マンテル、マーガレット・アトウッドなどが2回受賞しています。『Life & Times of Michael K(マイケル・K)』は、内戦下の南アフリカが舞台。混乱の中で次々と起こる暴力に対抗していく物語です。The page you are looking for cannot be found.『An Artist of the Floating World(浮世の画家)』は、1986年の長編小説で、第2次世界大戦後の日本を舞台にしています。2019年3月に日本で渡辺謙さん主演でテレビドラマ化されたので、ご覧になった方もいるかもしれません。戦争に翻弄(ほんろう)された実在の画家として、戦前にフランスに渡って、戦争で帰国し、戦後はフランスに帰化したレオナール・フジタ(藤田嗣治)を連想しましたが、小説に登場する画家との境遇はそれとは異なります。ミュリエル・スパーク(Muriel Spark)は、イギリス・スコットランドの作家です。スパークのことは、ポストモダニズムの文学の授業で知りました(「ポスト」ばっかり・笑)。主人公の一人称で、直接「こう思った」という語りではなく、過去や周囲の状況を描写するその視点から、主人公の性格や感情を表出させていく手法に感嘆します。右にランキングにランクインしている記事はおすすめなのでぜひ読んでみてください。イギリスの模範的な執事が旅に出て、古き良きイギリス貴族のかつての主人や、執事だった父、職場でひそかに思いを寄せていた女性のことを回想します。情景がありありと浮かぶ精緻な描写なのに、主人公の執事の内面はなかなかうかがい知れません。
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