その理由は、点と線で行なわれる信号のやりとり。RAS(がん遺伝子)が異常を起こすと「増える」という情報が暴走し、増殖する。患者が亡くなった後も細胞は増殖し続ける。がん遺伝子は厖大にあって、全体像をひとりの人間が捉えるのは不可能だという。このHIF-1を取り除ければ防げるのではないか?そこでランデルハンス教授の元を尋ねる。調査を進めれば進めるほどガンの撲滅は難しいということがわかってきた。ガン患者として最期の日々をどう過ごすか?立花さんは鳥取県の小さな病院を訪ねた。病床は19床。ほとんどは往診で診ていると言う徳永先生に同行する。しかしHIF-1が無いと細胞はバラバラになり死んでしまう。初期の細胞のときは低酸素状態で生きるもの。細胞が育つには必要不可欠。酸素を必要とする生物が進化の過程で獲得した遺伝子でもあった。裏切りを行なうマクロファージ。しかしマクロファージは本来の機能を果たしているに過ぎないという。それは傷口を治すときの働きだ。マクロファージは傷口を修復するために集まり、移動や成長を促す物質を放出する。立花「3分の一がガンで死ぬ。ガンは細胞の病気であり、DNAの病気。生命維持・存続の仕組みそのものにガンの起因するものがある。」そのガン幹細胞は、生命の根源である「幹細胞」に極めてよく似ていることがわかった。ガン幹細胞を攻撃することは幹細胞を攻撃することになる可能性が高い。徳永「体内の何かが’死’について、その人に教えているような気がする。そういうのを持っていてもやっていける力が人間にはある。」--------------------------------徳永「’死’とはすごいもの、’命’はすごいものなんだなあ。わからないから凄いんだな。」立花さん「私が生きている間に人類が医学的にガンを克服することはないだろう。死が迫ってもジタバタすることはないだろう。そうであればガン患者はどこかで折り合いを付けることが必要。徳永さんのところで学んだのは、人間死ぬ力を持っていること。ジタバタしないで生きることが、ガンを克服するということではないか。」がんは進化で獲得した遺伝子を多数使用しているのだ。細胞の移動に使われる遺伝子が、がんの転移にも使われている。副作用の激しい抗がん剤。2回変更したが、ガンは減らなかった。アポトーシス(細胞死)が現われて、消化管に穴が開く状態になったという。3万年前の恐竜にもガン細胞が発見され、あらゆる生物のガンには同じ遺伝子が使われていることがわかってる。1982年以来ガンの研究に打ち込んできたワインバーグ教授に、なぜガンはこれほどしつこいのかを質問。山中教授「再生することが出来ない人間が選択した進化が、がんを生殖能力ができるまで起こさないことだったのでは?」立花さんはすぐに手術。膀胱の正面が見えて、数十億個のガン細胞の塊が見えた。無事に手術で取り除けたが、目に見えない細胞が残っていて確実に転移するという。抗がん剤でないと効かない。しかしポラード教授が発見したのは、マクロファージがガン細胞を手助けしているということだった。同じことがガン細胞でも行なわれ、マクロファージに導かれるようにガン細胞が移動・増殖するという。教授「ガンになる理由は知るようになったが、37年たってもガンを治すことはさほど進歩していない。」立花「免疫があるので、移動先でもそうそうガン細胞は生きられないのでは?と考えた。立花「ガンは半分自分で半分エイリアンのようなもの。エイリアンを攻撃しようと思って自分自身を攻撃してしまう。治そうとして自分を攻撃するようなもので、生命とはなんだ?といったことを考えさせられる。何故こういった選択肢しかないのか?取材の1ヵ月後に戸塚さんは亡くなった。博士「HIF-1という遺伝子は、酸素が行き届かない真ん中あたりの低酸素領域で働く遺伝子だ。」2年前膀胱ガンが見つかった立花隆さん。がん細胞か正常細胞かは今でも専門家の勘に頼る。自分の中に生まれたガンとは一体何なのか?立花さんは世界中を旅して、つきとめようとした。私達はガンに対する認識を誤ってきたのではないか?立花さんは世界の研究者を取材。HIF-1は低酸素でも生き残れる能力を持ち、移動する能力を身につける。これが浸潤だという。立花さんは講演を依頼されて、「ガンが転移しても頑張らずに抗がん剤は使用しないだろう。」と発言。「65歳、このままいっても、QOLを下げてまで生きているメリットは無いと思う。」「分子標的薬」がこのパスウェイの異常信号を抑えようとした。しかしRASは他の異なる遺伝子を探す。こうして分子標的薬は効き目を失ってしまう。立花「生命の歴史が作ったものがHIF-1であって、それがガン細胞を作っている。」「ガン幹細胞説」に注目。スタンフォード大学のマイケルクラーク博士がその研究の第一人者。ガン細胞を分類したところ、ガン幹細胞を注入したラットはがん細胞が出来たが、その他の細胞を注入してもがん細胞はできなかった。抗がん剤は「ガン幹細胞」には効かない。そればかりか耐性のあるガン幹細胞ができてしまう。立花「ガンは防御法を次々と考えて、薬の裏をかく。ただものではないとわかってくる。」白血病細胞では、正常細胞が白血病細胞に栄養を与えている。ガン細胞と正常細胞の深いかかわりは、副作用となって現われる。いつ訪れてもおかしくない「再発」、さらに立花さんはガンを知りたいと考えて、博士「ガンは低酸素に順応する必要があり、この生き残ったガン細胞が放射線や抗がん剤でも生き残れる強力な細胞になる。」自宅で病床に臥す患者さんと、死ぬ場所はどこがいいのかを聞く。死は日常の傍にある。と語る徳永さん。この日は胃がんを患っている谷口さんを診る。意識が混濁した状態から戻った状態だった。痛みの緩和ケアを中心に励まし、語りかける。翌日谷口さんは娘の誕生日を1日早く祝う。家族に囲まれて。その翌日谷口さんは亡くなった。教授「HIF-1は海と陸を行き来した動物には極めて重要なもので、進化の中でもずっと保存してきたと考えられる。」取材中、たくさんの薬を飲む立花さん。免疫力を高めるという薬だという。スポーツ観戦が好きなのでそれを中心に見たテレビ番組のメモなど書いています。なお「テレビ録」カテゴリーのメモ内容については、僕の耳と目がキャッチできた内容を記録したものです、放送内容や事実と相違することも多々あることを予めご了承願います。2年前、立花さんからの申し出でガンの状況を取材することになった。2007年東京大学で多発性の膀胱ガンが認められた。およそ2cmの細胞から徐々に増えてきたという。医師はどこまで深く侵攻しているかわからなかった。浸潤で5年生存。筋肉まで進むと、その先遠隔転移が発生し、手術では無理になり、5年生存率は25%に下がる。ノーベル賞受賞者も多数輩出したが、それはまだ一部の解決を見たのみだ。教授は’生きていること自体がガンを生む’というもの。細胞のコピーミスが起きるとガン細胞になる。70・80でミスが起きないことが奇跡だという。4ヵ月後、もうひとつ訃報が届いた。友人のジャーナリスト筑紫哲也さんだった。立花さんは抗がん剤治療を続ける物理学者の戸塚洋二さんに話を聞く。戸塚さんは既に全身に転移していた。脳にまで転移しており、戸塚さんは科学者の目で自身のガンとの戦い・共生をブログに記録した。巨額の投資を行い、現われては消えた’がん治療薬’それでもがんは撲滅されていない。3ヶ月に1度膀胱のガンを検査する立花さん。転移が起こることが要注意だからだ。1971年ニクソン大統領の「ガン戦争宣言」で、ものすごい種類の抗がん剤が試された。しかし現在でも効果のあるガンは限られており、転移するとほとんど効かない。立花さんは何故二人の友を失うことになったのか。現在の研究状況を知りたいと考えて、第100回アメリカがん学会で研究者に尋ねていった。研究者は制圧までに50年か100年はかかるという。進化が生んだガン遺伝子を研究した、グレッグサマンサ博士のもとを訪問した。そこでポラード教授のもとを尋ねて、マクロファージの働きを聞く。IPS細胞の中にはがん細胞化するものがあり、正常細胞とがん細胞は紙一重だという。命を再生するIPS細胞と命を落とすがん細胞が極めて似ている。立花さんは筑紫さんに話を聞こうとしていた矢先だった。「筑紫さんのヒヤリングをやってきたんです。」と涙。 このブログでは細胞間コミュニケーションをつかさどる糖鎖(とうさ)という体の機能を紹介しています。体験談も掲載中(内容には個人差があります。がんとは何か!?立花隆ドキュメントがんは糖鎖機能と関係の深い病気です。糖鎖はがんをも治してしまうと研究発表されています。 立花隆さん・知られざる最高傑作『エーゲ 永遠回帰の海』を語る(いまこの本を読め・特別編) - Duration: 39:15. ジャーナリストの立花隆氏は、一昨年、膀胱がんの手術を受けた。NHKは手術の様子や、その後の治療の過程を長期に渡って映像に記録してきた。その中で、立花氏は本質的な疑問に向き合い始めた。「人類はなぜ、がんという病を克服できないのか?」。
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