RUKI なんか、常に新しいというか。GOATBEDでもXA-VATでもそうなんですけどね。見た目の部分でもそうだし、もちろん音楽的にも。いつもこだわりが半端ないなと。秀仁 ああ。あの人は逆に、バンドやってる人で会ったことのない人がいないようなタイプですから(笑)。秀仁 ふふふふ。そんなふうに見られてるという自覚はまったくないです。若い頃とかは確かに奇抜であろうとしてたかもしれないですね。みんなと同じじゃありたくないというか。だけどそれはみんな同じですよね? さすがに今はそんなにも奇抜だとは思ってないですけど、多分、自分が思うカッコいいものというのが、他の人とは若干違ってたりするんでしょうね。それが奇抜に映ったりするんじゃないか、と。RUKI 確かに。ファンからも、英語だとわかんないと言われることはあるんです。だけど、伝えなくてもいいなと思えるものは敢えて英語にしてみたり。あとはちょっとタブー視されてるようなこととかの伝わり方を、曖昧にするためにそうしてみたり。あと、日本語で“愛してる”とかは書きたくないんですよ。伝わりやすくはなっても、クサい言葉になるじゃないですか。そういう時には英語が便利でもあって。RUKI ええ。すごく共感できるし、そういうところが尊敬できるなって。というのも、実はそういう個性やこだわりを持ってない人たちというのも多いじゃないですか。そんななかにあって、やっぱブレてないなって思う。秀仁 辞書は引かないですね。でもなんか、本を読むのは昔から好きだから。もちろん辞書で言葉の意味を調べることはありますよ。使いたいと思った言葉の意味が自分の思ってたとおりかどうかを確かめたりとか。あとは造語を作るうえで、漢字一字が持ってる意味を調べてみたり。RUKI その点、秀仁さんの歌詞は、他とはまるで違うというか。秀仁 ただ、接点はわりとあって。ヘアメイクさんとかに共通の知り合いがいたり。だから情報はいろいろ伝わってくるし、俺、ちゃんとCDも3枚ほど持ってますから。ちなみにいちばん新しいのはTSUTAYAで購入したんですけど(笑)。RUKI ほとんど読まないんですよね。むしろ映画とか映像のほうが歌詞のインスピレーションになることが多くて。RUKI そうあれたら嬉しいですね。でも秀仁さんは秀仁さんで、いつも僕が想像する斜め上を進んでるようなところがある人なんで…。だから今もワクワクさせられるんですよ。なかなかいないんですよ、そういう人。だからこれから先もそうあってほしいです。RUKI 今まで接点がなかっただけに、今回も対談の話を受けてくれないんじゃないかと思ったんですけど、イチかバチかで声をかけてみて。先輩に声をかけるのって結構勇気が要りますからね(笑)。秀仁 アルバムに10曲入ってたとしても、表現が違うだけで言ってることがほとんど同じだったりするじゃないですか。バンド同士で言ってることが似てるのも多いし。――秀仁さんの撮影の時のポージングとか、普通のミュージシャンとは明らかに違いますもんね。RUKI いやー、恐縮です。でもやっぱり他の誰かに似てしまったり、過去の自分に似てしまうのは嫌ですからね。それは音楽についても同じですけど。でも、とにかく秀仁さんにはこれからも奇抜であり続けてほしいです。秀仁 すごいですよね、いつも。DVDに入ってたドキュメンタリー映像のなかに、アートワークの打ち合わせをしてる場面があって、自分で絵まで描いて説明してたりしていて…。すごいなと思った。ああいうことは俺、全然しないから。RUKI ええ。秀仁さんの歌詞を見ると、すごく難解というか。そこで「この言葉とこの言葉を繋げるとどういう意味になるんだろう?」とか考えさせられたり。昔から、そうやって考えさせられるような歌詞を書く人が好きなんで。しかも個性があるというか独特な感じがあるじゃないですか。言葉をすごく知ってる人なんだなと思わされるし。辞書とか見たりもするんですか?RUKI いや、立ち姿だけであんなふうになる人、滅多にいないですよ。衣装とかはどんなところからインスピレーションを?RUKI いや、むしろタイトルとかキーワードとかからですね。アルバムの場合で言えば、全体的なコンセプトとかテーマみたいなものをあらかじめ提示して、曲自体もそれに沿いながら作っていくことが多いんで。だから曲よりも先にPVのイメージが浮かんだりすることもあるし。 秀仁 なんかすごいな。正直に言うと、the GazettEの作品については、先にアートワークに惹かれて手に取ったこともあるんですよ。「これ金かかってんな!」みたいに興味を持ったり(笑)。でも実際に音源を聴いてみると、音についても素晴らしいなと思う。そんなに昔から知ってるわけじゃないから音楽的な変遷を把握できてるわけじゃないけど、ある意味チャレンジャーというかね。歌詞の部分で言うと、英詞も多いし。あんまりこういったジャンルの界隈では歓迎されにくいはずなのに。秀仁 でもなんか、このまま年をとっていけば、そのぶんだけ説得力を増していくはずの音楽だと思うし、そういうバンドだと思うんですけどね。RUKI いやー、そこまで意識してはいなかったんですよ。ただ、単純にファンがほしいと思うようなものを作るんじゃなくて、こうあってほしいとか、こういうのが似合う人たちであってほしいとか、そういう気持ちで作ってるのも確かですね。そもそもは、せっかく物販でTシャツを作っても、パジャマとかにされてしまいがちじゃないですか(笑)。そういうのは嫌だな、というところから始まってるんです。そこからどんどんエスカレートしてきて。秀仁 いやいや。ただ立ったり座ったりしてるだけじゃないですか(笑)。RUKI だから今日、すっごく緊張してます。ホントに断られると思ってたし。秀仁 ありがとうございます。俺が20年ずっとやってきたわけじゃないですけど(笑)。秀仁 ははは! でもね、実際、ブランドをやってるんじゃないかと思えるぐらいのものをいつも作ってますよね。バンドをやってる人のなかにもファッションに興味があってその手のことに凝る人は結構いると思うけど、そういうクオリティを遥かに超えてるんですよ。グッとくる感じがある。ほしいなって思わされるし、自分も作りたいなとも思わされる。ファンに求めさせるというか、「あなたたちの知らないところにこんなにカッコいいものがあるんですよ」というのを、グッズやアートワークに落とし込めてるというか。それを徹底的にやれる環境を得てるというのもすごいと思う。――音楽をやるからにはこういう服が着たいというのもあれば、逆に、こういう服が着たいからバンドをやるんだ、みたいな部分もあるわけですか?秀仁 そういうのをどこかで自覚してる人たちがバンドとかをやるんじゃないかな。秀仁 なんか自分でも、何も変わらないんじゃないかという気はしてます。というか、何も変わらずやっていけたらいちばん幸せかな、と。そこはお互い同じですよね。秀仁 なんかもう、どっちだかわかんないところがありますね(笑)。でも昔はもっと音楽やってる人とかのファッションもカッコ良かったし、憧れみたいなものもあったじゃないですか。今の世の中、ちょっと違いますからね。RUKI だからメイクを落とそうとか思ったこともないし、髪立てないとかもあり得ないし。ビジネスマンにとってのスーツが自分にとってはコレ、みたいな。RUKI どうだろう? どれくらい老けてるかによりますよね、その時点で(笑)。秀仁 いやいやいや。俺の場合、こうして誘われること自体が意外ですからね。実際、こういう話があった場合、基本的には断らないです。滅多に誘われないだけのことで(笑)。秀仁 それはモノによりますけど、なんかね、人間じゃないようなもの、たとえば「悪魔みたいな感じの服を作って」とか言うこともありますし。買うものに関しては、単純に自分の好きなブランドとかもあるんだけど、「今日は三軒ぐらい見てまわろうかな」と思っていても、一軒目でいいものがあればそこで終わりにしちゃうし。秀仁 確かに。仕様とか装丁とか、ああいった原案はいつも自分で考えてるんですか?秀仁 そうなの? すごいクオリティですよね、あれは。Twitterとかでたまに画像が上がってるのを見たりするけど、あれは羨ましくなるぐらいすごい。俺自身、Twitterをやってるわけではないんだけど。RUKI 僕はこれまで、cali≠gariのメンバーで言うと(武井)誠さんしか会ったことがないんです。秀仁 というかcali≠gariのアートワークというのは俺とはまったく無関係な話ですから(笑)。全然違う世界というか、出来あがってから知ることも多いし、趣味とかも違うので。「どう?」って訊かれたら多分「嫌だ!」って言うと思われてるから、向こうもわざわざ言ってこないし(笑)。もちろんGOATBEDとかの場合は、口出しはするし、最初の発信は自分からしますけどね。ああだこうだって注文つけて、それで散々こねくり回してもらった挙げ句に「嫌だ!」みたいな(笑)。要するに俺は言うばっかりなんです(笑)。the GazettEの場合、ああいうアイデアは曲のイメージから膨らませていってるわけ?RUKI すごくわかります。それは日本語/英語を問わずあることで。RUKI 基本的に暗い映画が好きで。園子温監督のものとか。いちばん好きなのがビョークの出ていた『ダンサー・イン・ザ・ダーク』かな。わりとバッドエンディングなものが好きなんですよ。しっとりと展開していくものとか。秀仁さんは、映画のほうは?RUKI ええ。あと、自分で着ていて気合が入る服ってあるじゃないですか。カジュアルな格好じゃ出ていけないというか。RUKI なかなかいないですよ、そういう人。僕もようやくコレクションの写真とか見るようになりましたけど。秀仁 最近はなんかもう簡単なのしか観ないですね、疲れちゃうから(笑)。昔はいろんな方面の作品をほじくって、「俺が観たことない映画なんかあるわけないだろ?」みたいな感じでしたけど。それこそ18歳ぐらいの頃は。結果、そんなの全部忘れちゃいましたけどね(笑)。でもね、話を聞いていて思うんですけど、やっぱりイメージを膨らませていく作業というのがすごく上手なんだろうなと思うなあ。RUKI 秀仁さんこそそういう人だと僕は思います(笑)。それこそGOATBEDのホームページを見ただけでもそれは感じるんですよ。自分の打ち出し方みたいなものをいろいろと持っていて…。秀仁 多分変わらないと思います(笑)。まあでも、自分でも「ちょっとやり過ぎちゃったかな?」と思うことはあるんですけどね(笑)。ただ、音楽にしろ何にしろ「ここまでやっちゃうと理解してもらえないかな?」と思ってたものが支持されると、若干嬉しかったりするじゃないですか。「あ、これで合ったんだ!」みたいな(笑)。それが世間一般にとっての正解じゃなくてもね。RUKI ええ。もちろんそこでデザイナーさんに相談するんですけど。秀仁 うん。俺の場合、歌詞というより言葉というか。単語の使い方が大事だったりとかね。すごく意味のあるものとまったく無意味なものをくっつけてみたりとか。まあ、いわゆる言葉遊びの要素というのも結構あるんですけど。造語とかを勝手に作っちゃってるところもあるし。そういう部分でもthe GazettEの歌詞には共通するものを感じる部分があるんですよね。慎重に単語を選んでるんだろうなという気がする。秀仁 わかるわかる。俺、実際、歌詞が好きになれないケースが多いんですよ、ジャンルとかを問わず。ストレートに言えば、大概のバンドは歌詞が嫌いなんです(笑)。バンドに限ったことじゃないんだけど、なんか自分とは合わないというか。こんなに酷い言い方をしなくてもいいんだろうけど(笑)、歌詞として興味を持てるものにあまりお目にかからない。というのも、みんなどの曲でも結局は同じようなことを言ってたりするし。――cali≠gariのアートワークやデザイン関係はすべて(桜井)青さんにおまかせですか?――the GazettEの場合、アートワークのエスカレートぶりもすごい。――作詞をする人の多くはよく「伝えたい」という言い方をしますけど、秀仁さんの場合、何かを伝えようとする歌詞ではないですよね?RUKI それ、ありますよね。今まで普通に使ってた文字や言葉でも、改めて調べてみると、自分の知らずにいた他の意味が何とおりかあったりすることがあるじゃないですか。秀仁 ですね。いちいち試着するのとかも恥ずかしいんで(笑)。これだと思ったらそこで決まり。あとはやっぱり、コレクションの時の写真とかを先に見ちゃったりするんで、頭のなかにその絵があって、それを一式買いに行ってるようなところもあります。――完璧です(笑)。RUKIさんが今回、秀仁さんと話したいと思った理由というのは?RUKI 誘って良かった(笑)。僕、奇抜な人が好きなんですね。奇抜な人といえば秀仁さん、というところが自分にはあって。奇抜という言葉が適切なのかどうかはさておき(笑)。秀仁 こうしてないと、恥ずかしくて無理ですから(笑)。べつにそんなにも深く考えてるわけじゃないんです。メイクして、こういう服着て音楽やるのがカッコいいと思ってやってるんだから、カジュアルな感じでなんか出ていけるはずもないというか。しかもthe GazettEの場合、そのやり方を貫きながらこれだけの支持を獲得し続けてるわけだから、それが正解だということになるはずだし。RUKI ええ。報われたって気分になれますよね。そういえばcali≠gariは今年、20周年なんですよね? おめでとうございます。RUKI でも僕、GOATBEDのアカウントはフォローしてますよ(笑)。秀仁 うん。そういう意味があるんだって知った途端に、それまで嫌で使わずにきた言葉もすんなり使えるようになったりするんですよね。RUKI ええ。でも、それをバンドに落とし込めてるのがすごいなと思う。秀仁 俺の場合、長くやってるわりに初対面の人というのは多いんです。あんまり外に出ていかないんで(笑)。秀仁 ああいう服なんてね、それこそバンドでもやってない限り着る機会がないじゃないですか(笑)。秀仁 いやいや。こだわりって意味ではthe GazettEもすごい。俺、バンド名からしてすげえカッコいいなと前々から思ってたし。まず表記的に“the”が付いてるのがいい。曲のタイトルとかもセンスいいし。そういえば、ブランドもやってるんですよね?――RUKIさんはthe GazettEが20周年を迎える頃、どんなふうになっていると予想していますか?
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