住宅バブルの崩壊とサブプライムローンの証券化の破たんが引き金を引いた大景気後退(Great Recession)の真っ只中の2009年1月に、国民の熱い期待を担ってオバマ政権は誕生した。この8年間は大景気後退からの回復過程であったが、重要なことはこの過程でさらに経済格差が拡大した点である。それは中間層の衰退を意味する。いまや民主・共和の両党とも、いかなるものであれこの問題への対策を示さない限り多くの国民の支持を得られない。オバマ政権は景気回復を越えて安定的な経済成長 … アメリカの社会に存在する格差の種類について調査したので分かったことを報告します。アメリカの社会に存在する、5つの格差1「収入面・資産面」での格差上位1%の超富裕層にばかりお金が集まる社会構造このグラフは、アメリカでのトップ1%の資産額が、ア 社会の富を独占する「本物の金持ち」は上位1%ではなく0.1%の人々だ アメリカでの金持ちとそれ以外との格差は、私たちが思う以上に拡大していたようだ。 アメリカの格差社会は、将来の日本の姿 いくつかのデータから、日本も他人事ではないと述べました。やや自虐して言いますと、日本は「軍事力なき小アメリカ」です。 この8年間は大景気後退からの回復過程であったが、重要なことはこの過程でさらに経済格差が拡大した点である。それは中間層の衰退を意味する。冒頭にも述べたように、中間層問題へのアプローチはいまや大統領選挙でも両党にとって不可欠である。中間層の衰退への対応が「中間層の経済学」のようなものになるのかどうかは、大統領選と議会選挙の帰趨にかかっている。中国・習近平の大誤算…アメリカが「尖閣侵入」にマジで怒り始めた…!この景気回復過程でさらに所得格差が拡大したが、それは資産価格上昇によるキャピタルゲイン(資産売却益)が高所得者層に集中したからである。高所得層の最大の資産は株式、債券、投資信託といった金融資産であり、2013年ではそのシェアは26%、次いで住宅資産が21%を占める。その結果、資産格差が拡大(図2)するとともに、キャピタルゲインは高資産保有層に集中し、これがまた所得格差をもたらした。それは第1に、生産性格差が競争的市場メカニズムを通じて生産性の高い企業と労働者にそれぞれ高利潤と高賃金とをもたらすからである。これが経済学の伝統的考え方である。これらは分配政策というよりも労働能力を高め、労働参加を促進し、生産性と生産拡大を実現するものだという。したがって分配重視の「大きな政府」ではなく、分配による成長をめざすものだ、と。年収1000万の金融マン「早期退職」で急転落…独立から1年でピンチに陥ったワケいまや民主・共和の両党とも、いかなるものであれこの問題への対策を示さない限り多くの国民の支持を得られない。金融政策はFRBの所掌であるが、政府としては「2010年ウォール街改革および消費者保護法」によってウォール街の暴走を抑制しようとする。とくに銀行のリスクテーキングを抑制しようとする。これもまた「中間層の経済学」の一部である。「中間層重視の経済学」は、これらの3大要因の組み合わせを変えて、①生産性の上昇によるパイの増大、②労働参加拡大によるパイの増大、そして③富裕層への増税や社会保障の拡充といったパイの再配分が、①と②のパイの増大を実現するというのだ。一方、中所得層の最大の資産は住宅であり、そのシェアは総資産の44%、低所得層では48%に及ぶ。人種別ではどうか。多民族社会アメリカでは、成人の人種別構成比で白人比率の低下が続いてきたが、それとともに中所得層に占める白人の成人シェアも低下してきた。ピュー・リサーチセンター(米世論調査NPO)のレポートを紹介しよう。世帯はその構成人数によって経済状態が異なるので、最初に世帯規模別に中位(中間)所得を求め、それぞれの世帯規模ごとの中位所得の3分の2未満を低所得層、3分の2から2倍未満の所得を中所得層、2倍以上は高所得層とする。ポンペオ長官“怒りの演説”が中国共産党に突きつけた「究極の選択」住宅バブルの崩壊とサブプライムローンの証券化の破たんが引き金を引いた大景気後退(Great Recession)の真っ只中の2009年1月に、国民の熱い期待を担ってオバマ政権は誕生した。渋野日向子ら大活躍のウラで…女子プロゴルフ界の「厳しすぎる現実」金利政策はマクロ経済政策の重要な一部であるが、すべての所得階層に対して同じように作用するわけではない。FRBの超低金利政策は、金融資産価格の上昇を媒介として、所得格差と資産格差のスパイラルをもたらしているのだ。ここに、従来の需要重視のケインズ主義でもなく、「供給重視の経済学」でもない「中間層の経済学」の独自性がある。外食業界で一人勝ち、新星「焼肉きんぐ」の食べ放題が魅力的すぎるレジ袋有料化は「エコ」じゃない…? ゴミ清掃芸人が明かす「意外な真実」生産性と労働参加率が高まり所得格差が縮小した「成長を分かち合った時代」(1948~73年)、生産性は低下したが女性の労働参加が増え、所得格差広がり始めた「労働参加拡張の時代」(1973~95年)、そして生産性が再び上昇したが所得格差が拡大した「生産性回復の時代」(1995~2013年)である。しかし、高所得層においては白人のシェアは2015年でも77%で人口比よりかなり高い。白人に次いで人口比の大きいヒスパニック系は、同期間にその人口比は13%から15%に上昇、同じように中所得層に占めるヒスパニック系成人の比率も12%から15%に高まったのである(表1)。格差縮小は公平性を優先して効率性を損ない、経済成長の停滞に至るとみるのが伝統的な考え方である。無党派でありながら(これだけでも驚きだ)、24年間連邦議会の議員であるバーニー・サンダースが、昨年民主党入りして大統領選挙戦に向けて掲げた「格差の是正と中間層の再興」は全米に旋風を巻き起こした。そして、これらの組み合わせからみると戦後アメリカ経済には三つの画期がある(表2)。習近平の暴挙が止まらない…尖閣侵入の「次」に起きるヤバすぎる事態住宅価格(Case-Shiller全国住宅価格指数)は2006年の住宅バブル崩壊後続落したあと、2012年から価格上昇に転じたが、株価(S&P総合株価指数)と比べるとその回復率は低い。2010年1月~2016年6月の間に、株価は71%上昇したが住宅価格は21%の上昇に留まった。これに対して長期的な経済格差の拡大は、①すべの人々の能力に応じた教育へのアクセス困難、②起業家精神の欠如、③独占的行動が広がると競争経済への信頼がなくなり監視コストが増加、④政治的不安定性や不安の醸成、などを招来し、結局のところ成長を妨げるというのが最近の考え方である。ヒスパニック系の学士卒業者の比率は、すでに2012年には10%を超えるようになり、全雇用に占めるヒスパニック系の比率も2000年の10.7%から2014年の14.3%に増加を続けている。白人中所得層の衰退が進むなかで、アメリカ社会は人口比でも経済的地位でもヒスパニック系が台頭する社会になった。第2に、最低賃金の引き上げや有給の病気休暇(アメリカ企業では一般的でない)など様々な付加給付の拡充である。これらは労働者の団体交渉力が低下しているもとで企業側に生じているレントの労働者への再分配であり、競争的労働市場を機能させる。また、独占禁止法の運用強化による競争促進も重要になる。所得格差の要因をこのようにとらえると、その対策は第1に、生産性の向上であり、そのための研究開発、教育、労働者の再訓練である。その結果、世帯全体の総所得に占める中所得層のシェアは1980年に60%だったのが2014年には43%に低下、逆に高所得層のシェアは30%から49%に上昇した。そして、中所得層に属する18歳以上の成人比率は1981年では59%だったが、2015年には50%に低下、いまやアメリカ社会は中所得層がマジョリティではなくなっている(図1)。アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、2008年のリーマンショック後の12月からフェデラル・ファンド(FF)金利を年0~0.25%にするという事実上のゼロ金利政策を続けてきた。昨年末にようやく0.25~0.50%に引き上げたものの、超低金利はいまなお続行している。2001年に白人は成人人口のうち70%を占めていたが、2015年には65%へと5%の低下。同期間に中所得層に占める白人の比率も73%から67%へとほぼ人口比の減少分だけ低下した。オバマ政権は景気回復を越えて安定的な経済成長に至るには、格差縮小が必要だとして、その意義を高唱する。そして、そのために「中間層重視の経済学」(middle-class economics)を提起した。低所低得者向けのフードスタンプ(現在は、「補助的栄養支援プログラム」と称される)やメディケイド(公的医療扶助)、そして子供の貧困を防ぐ勤労者所得税額控除、コミュニティ・カレッジの授業料の無償化、最低賃金引き上げなどを提唱している。いったいなぜ、これほどの所得格差が生まれているのだろうか。所得源として大きく言えば、勤労所得と資産所得、そして移転所得がある。アメリカでは1980年代以降、高所得層ほど所得増加率が高くなった。また2008年の大景気後退のあとは各階層とも所得を減らしたが、その減少率は低所得者層が最大で、高所得層が最も低い。都知事選「真の勝者」は小池知事ではなく「日本維新の会」だった…!ここでは、中間層の衰退の現状と背景、「中間層の経済学」の内容を見ていきたい。これら二つは勤労所得に関わるが、いま一つの所得格差要因は資産所得である。中間層の再興は、だれが大統領になろうとも避けては通れない政治課題だ。中間層はなぜ衰退したのか。オバマ政権の中間層の再興のための処方箋はいかなるものか。所得格差の縮小と経済成長をめざすオバマ政権の「中間層の経済学」は、そのための3大条件として、①生産性上昇率、②労働参加率(16歳以上の生産人口に占める実際の労働力[雇用者と失業者]の割合)、③所得の再分配を重視する。【マンガ】「門限16時」のモラハラ夫から、逃亡することを決意しました景気回復過程でも広がる一方の格差と中間所得層の衰退。中間所得層に属する成人がマジョリティを失ってしまった、それがいまのアメリカ社会だ。とはいえ、この「中間層の経済学」に基づく政策を実行するには、たとえばキャピタルゲインの課税強化ひとつをとってみても、上下両院ともに共和党が多数をしめる現在の議会構成では、法案の通過には大きな困難が伴う。たとえば、金融業などの産業における寡占化や労働組合の団体交渉力の低下による賃金低下、あるいは資格認定職の高賃金やその財・サービス価格の上昇などがその一例である。ここにヒスパニック系によって職を奪われ中所得層から転落したと考える白人の中所得層には、ドナルド・トランプ共和党大統領候補のメキシコ移民排斥の主張が一定の支持を得る根拠がある。習近平も青ざめる…中国の尖閣侵入に「日本のマジな怒り」を見せる方法オバマ政権もこの考え方を踏襲するが、さらに第2の要因として、独占やその他の要因で競争が働かず一部の企業や社会階層に超過利益(レント)が生じ、付加価値の分配に不平等が生じたとする。

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